郵政研究所月報 

1998.5

調査・研究


移動体通信の普及動向と通話支出





元通信経済研究部研究官(住友海上火災保険 金融法人第一部主任)  大石 明夫   




【要約】

 本年2月に実施したアンケート調査をもとに移動体通信の現況を調査した。
関東地方の世帯における移動体通信の保有率は、携帯電話が43.9%、PHSが14.4%、ページャーが11.4%であった。携帯電話、PHS、およびページャーのいずれかを保有している世帯の割合は53.6%に達しており、各世帯における移動体通信の複数所有化が進んでいる。また普及率の各都県間の格差もなくなってきている。
個人普及率は、携帯電話21.5%、PHS5.9%、ページャー4.5%であり、移動体通信全体(いずれか保有)では28.7%であった。また、これを属性別にみると、携帯電話については、男女とも20歳代の普及率が最も高く、男性では20歳代〜50歳代まで普及率が30%を超えている。女性については各年齢層の差が男性と比べ大きいが、40歳代においても15.0%の普及率となっている。PHSの普及率は、男性が10〜40歳代、女性は10〜30歳代の普及率が高い。ページャーは男性は10歳代を最高に年代が上がるにしたがい徐々に低下している。女性は10歳代、20歳代に利用者が集中しており、男女で傾向が大きく異なっている。
1世帯1ヶ月あたり平均通話支出額は、携帯電話が9,351円、5,740円、ページャーは、3,236円であった。


移動体通信の普及動向と通話支出

はじめに

 ここ数年の移動体通信の普及は目覚しいものがあり、特に携帯電話は平成7年度末で1020万台、平成8年度末で2080万台、そして平成9年度末には、3000万台を超えている。しかし、個々の移動体通信をみると昨年度一貫して減少しているページャー、減少に転じたPHSと各移動体通信の間でその取り巻く環境が変化していることが窺える

 一方この移動体通信の普及は、既存の加入(固定)電話
への影響を無視できない水準にきている。平成9年度末で加入電話は初めて純減に転ずる見通しである。これは、ISDN回線への移行などすべて移動体通信の影響であるわけではないが、少なからず影響を与えていることは間違いないであろう。実際、移動体通信のみ保有の世帯が徐々にではあるが増加傾向にある。加入数からみれば、各電話サービスを取り巻く変化は一目瞭然であるが、通話量(回数、時間)や通話支出にどれだけの変化が生じているか、本稿では、アンケート調査をもとに特に移動体通信を中心に報告する。また、昨年実施した同様の調査結果(1997年1月)をもとにこの1年間の移動体通信の変化を比較する。なお、本稿中、意見にわたる部分は筆者の私見である。


  本稿では、携帯電話(自動車電話を含む)、PHS、ページャーを「移動体通信」とし、携帯パソコン、PDA等は対象としていない。また、携帯電話とPHSを合わせて「移動電話」と呼ぶこととする。なお、ページャー(無線呼出し)とは、一般にはポケットベル(ポケベル)として知られているが、これはNTTDoCoMoの登録商標である。
  家などに備え付けられている普通(固定式)の電話。


移動体通信の普及動向と通話支出

1.加入台数からみる移動体通信の現状
 1998年2月末現在で携帯電話、PHS、ページャーの加入台数はそれぞれ3,030万台、686万台、756万台であり、昨年の調査とほぼ同時期の1997年2月末時点ではそれぞれ1,968万台、552万台、1,020万台である。携帯電話は順調に増加しており、ここ3年は毎年1000万台超の伸びである。PHSは134万台増加しているが、97年9月末の707万台をピークに減少に転じており、またページャーは大幅減少である。携帯電話だけの加入台数をとってみても、加入電話の約50%の水準になっている。
 参考までに最近の移動体通信の加入台数の推移を図表1に示した。



図表1 移動体通信の加入数の推移


出所:郵政省資料より作成


移動体通信の普及動向と通話支出

2.アンケートの概要
 今回実施したアンケートの概要は以下のとおりである。
 対象とした電話サービス

住宅用加入電話(NTT及びNCC)、個人で料金を支払っている携帯電話・PHS・ページャー
 対象地域

関東1都6県(茨城、群馬、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川)
 配布世帯

20歳以上の男女2300人
 回収数(回収率)

1006名(43.7%)
 抽出方法

2段無作為抽出法
 調査方法

郵送法
 標本属性

世帯数 1006世帯

構成員総数 3168人 男性 1597人
          女性 1571人


移動体通信の普及動向と通話支出

3.普及動向

3.1 世帯における移動体通信の普及動向
 図表2のとおり関東地方の世帯における移動体通信の保有率は、携帯電話が43.9%(+8.7%、前回調査からの増減、以下数字のみに省略)、PHSが14.4%(+2.1%)、ページャーが11.4%(▲3.4%)であった。また、携帯電話、PHS、およびページャーのいずれかを保有している世帯の割合は53.6%(+5.1%)に達している。各加入台数の伸びが反映された形になっているが、一方で携帯電話の複数所有率は15.1%(+5.7%)に対し、PHSのそれは2.7%(+0.5%)であり同一世帯の複数所有化が進んでいる。この複数所有化を伸び率でみると、携帯電話が前回調査比約60%増、PHSが約20%増と、携帯電話の方がより複数所有化していることが分かる。
 さらに各都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)ごとにその割合の傾向をみると、携帯電話については各都県とも42〜43%台の普及率であり、各都県間の格差は大幅に縮少しているが、逆にPHSでは拡大する傾向にある。また、ページャーについては、埼玉県、千葉県の普及率の低下が目立つ。



図表2 移動体通信の世帯普及率


  サンプル数が少ない(100世帯以下)県は分析の対象から除いた。


移動体通信の普及動向と通話支出

3.2 移動体通信の個人普及動向
 個人普及率は、携帯電話21.5%(+6.5%)、PHS5.9%(+1.1%)、ページャー4.5%(▲1.7%)であり、移動体通信全体(いずれか保有)では28.7%(+5.6%)であった。また、保有者のうち移動体通信の複数所有率は13.4%(+1.5%)であった。さらにこの普及率を個人の属性別にみると以下の通りである。

 性別年代別普及率(図表3〜5)
 まず、普及率を性別でみると、携帯電話で男性が28.5%(+6.8%)に対し女性は14.5%(+7.3%)と普及率に依然大きな差が見られるが、男女間の格差は3倍から2倍へと縮まっている。PHSは男性が6.1%(+0.4%)、女性が5.8%(+2.1%)と、男女の普及率の差はほとんどなくなってきている。ページャーについては、男性4.2%(▲2.2%)、女性4.8%(▲1.3)%と、女性の普及率が男性のそれを上回ったが男女とも普及率は低下している。移動体通信全体では、男性が34.3%(+4.7%)、女性が22.8%(+7.4%)であった。この1年で女性への普及がかなり進んでいることが読み取れる
 次に、普及率を年齢別にみると、携帯電話では20歳代が47.6%(+17.5%)と最も高く、次に30歳代で37.7%(+13.7%)と、60歳以上の層を除いて全ての年代で増加している、また前回調査で普及率の高い年齢層順にその伸びも大きい。PHSについても20歳代が最も高く普及率は13.1%(+2.1%)となっているが、伸び率でみると10歳代が最も大きく普及率は10.0%(+5.5%)となっている。ページャーは、10歳代、20歳代の普及率が高くそれぞれ13.6%(▲1.7%)、9.8%(▲3.4%)である。また、全ての年齢層で普及率は下がっており、特に20歳代の低下が目立つ。
 そして、性別、年齢別を合わせて見ると、携帯電話については、男女とも20歳代の普及率が最も高く、男性では20歳代〜50歳代まで普及率が30%を超えている。女性については各年齢層の差が男性と比べ大きいが、40歳代においても15.0%(+10.5%)の普及率となっている。PHSの普及率は、男性が10〜40歳代、女性は10〜30歳代の普及率が高い。ページャーは男性は10歳代を最高(9.5%)に年代が上がるにしたがい徐々に低下している。女性は10歳代、20歳代に利用者が集中しており、男女で傾向が大きく異なっている。
 最後に、昨年と今年の調査では、調査方法が若干異なるため単純に比較はできないが、1年前と比較して顕著な傾向を幾つか挙げると以下のようである。
携帯電話
・男性では20歳代〜30歳代の普及率が50%を超えている。また、10歳代の普及水準はまだ8.5%と低いが、普及率は約4倍となっている。
 10歳代男性:8.5%(+6.3%)、20歳代男性:55.1%(+17.8%)、30歳代男性:53.1%(+20.4%)
・女性では、20歳代〜40歳代への普及が進んでおり、特に20歳代女性は普及率が2倍以上、40歳代女性は3倍以上となっている。
 20歳代女性:40.4%(+21.3%)、30歳代女性:22.8%(+10.1%)、40歳代女性:15.0%(+10.5%)
・60歳以上の普及率には男女ともほとんど変化がなかった。
PHS
・10歳代への普及が進んでいる。特に女性は普及率が約3倍となっている。
・10歳代、20歳代で普及率が逆転し、女性の普及率が高くなっている。
 10歳代男性:8.5%(+3.5%)、10歳代女性:11.6%(+7.7%)、20歳代男性:12.6%(+0.8%)、20歳代女性:13.6%(+3.7%)
ページャー
・20歳代女性の普及率が他の年齢層に比べ低下している。
 20歳代女性:11.7%(▲6.5%)
 以上、男女別年齢別で普及動向をみてきたが、男女とも20歳代の普及率が高く、3人に2人が移動体通信のいずれかを保有している。また、今後10歳代の動向が注目される。他の年代と比較し10歳代は小学生から大学生、そして社会人も含まれており、その年代の中でも大きく傾向が違うことが予想されるため、以下さらに細分化してその普及の状況を見ることとする。ただし、学生以外の10代のサンプルが非常に少ないため、学生のみの普及率(図表6)を見る。
 学生については、小学生以下、中学生、高校生、大学・短大生等の4つに分類した。
 携帯電話では、大学・短大生等への普及が目覚しく36.4%(+22.3%)、次いで高校生が14.7%(+13.1%)となっている。PHSも同様で、大学・短大生等が25.7%(+14.8%)、高校生が15.7%(+9.2%)である。ページャーについては、高校生の普及率が31.4%(+1.3%)と最も高い。大学・短大生等は17.9%(▲8.8%)と前回調査からかなり低下している。男女別については、前回調査で大きな違いがみられたが、サンプル数が少ないため今回は省略した。このように10歳代においては、高校生以上に急速に普及しており、高校生の2人に1人、大学・短大生等の3人に2人が移動体通信のいずれかを保有している。
 なお学生以外の職業別普及率である(図表7)が、職業の分類については、有職者か否か、定職か否か、さらに自営業か否かによって大きく4つに分類した。社会人については、全体的に普及が進んでおり、前回調査と傾向に大きな変化はなかった。



図表3 性別普及率



図表4 年齢別普及率



図表5 性別年齢別普及率



図表6 移動体通信の学生への普及率



図表7 移動体通信の職業別個人普及率


移動体通信の普及動向と通話支出

3.3 加入形態及び加入時期について
 現在様々な加入プランが存在するが、大別すると標準プランと、それを基準に基本料金を低く設定し、通話料を高く設定しているローコールプランに分けられる。携帯電話については、標準プランが39.4%、ローコールプランが60.6%となっている。ただし、各事業者間でこの比率は大きく異なっている。また、PHSは、平成9年度からローコールプランのサービスが開始されたため、標準プランが88.6%、ローコールプラン11.4%がとなっている。しかも、まだ1事業者のみのため全事業者で開始されれば、今後ローコールプランでの加入者が増えることが予想される(図表8)。
 次に加入時期は、携帯電話が平成8年、9年、PHSは平成9年に集中している。PHSについては前述した加入台数の推移から解約者が多いことが考えられるが、加入時期不明のグループも多く、かなり以前の加入者がこのグループに集中している可能性があり、今回の調査だけからでははっきりしたことは言えない(図表9)。
 また、事業者の選択理由について、既加入世帯には選択した理由、未加入世帯には、今後加入する場合の選択のポイントを強い順に3つ回答してもらった。なお、1番目から3番目までの各比率は1番目を回答した世帯数を分母として算出した(図表10)。

【1番目の理由】
 圧倒的に「通話エリアの広さ、つながりやすや」を挙げており44.4%であった。次いで「ブランドイメージ、知名度」11.3%、「基本料金および基本料金に係わる割引サービス」10.7%、「友人にすすめられて、周りの友人がもっている事業者だから」7.6%となっている。「通話料金および通話料金に係わる割引サービス」は3.8%と低く、通話料よりも基本料金を重視していることが窺える。また、これは前述した加入プランの選択にも影響しているものと思われる。
【2番目の理由】
 「基本料金および基本料金に係わる割引サービス」が最も多く17.2%、次いで「通話エリアの広さ、つながりやすや」16.6%、「通話料金および通話料金に係わる割引サービス」15.5%となっている。
【3番目の理由】
 「通話料金および通話料金に係わる割引サービス」が最も多く13.3%、次いで「通話エリアの広さ、つながりやすや」10.5%「ブランドイメージ、知名度」9.6%となっている。
 以上、加入に際して事業者を選択する理由としては、つながりやすさを最も重視し、通話料金よりも基本料金を重視していることが分かる。また、ブランドイメージが基本料金と同じくらい重視されている。



図表8 各移動電話のプラン別加入率



図表9 各移動体通信の加入時期



図表10 事業者の選択理由(N=656)


移動体通信の普及動向と通話支出


4.移動体通信への世帯支出額について

4.1 携帯電話、PHS、ページャー(無線呼出し)の一ヶ月あたり支出額
 各移動体通信の支払額は図表11の通りであり、そこでは1世帯当たりの支払額を横軸に世帯数の割合を縦軸にとっている。なお、対象からは業務用に使用している電話を除き、また、支出額には基本料金が含まれている。

(1)携帯電話
 サンプルは416世帯で、平均支出額は9,351円、最高は50,000円である。5,000円から10,000円の世帯の割合が最も多い。

(2)PHS
 サンプルは126世帯で、平均支出額は5,740円、最高は20,000円である。2,500円から5,000円の世帯の割合が最も多い。

(3)ページャー
 サンプルは94世帯で、平均支出額は3,236円、最高は20,000円である。2,500円未満の世帯の割合が最も多い。



図表11 移動体通信の世帯支出額


移動体通信の普及動向と通話支出

4.2 移動電話の支出について
 ここでは、携帯電話・PHSに関する毎月の支出について、利用者の意識調査をもとに移動体通信の支出が加入電話への影響および通信以外の消費への影響をみることとする。
 まず、携帯電話・PHSを使用し始めてから「普通の電話」及び「電話全体」の支出額、利用量(回数、時間)に変化があったどうかについて質問した結果を図表12に示した。
 「普通の電話」については、支出額、利用量とも「変化なし」が最も多くどちらも5割を超えている。「少し減った」「減少した」を合わせた世帯は、それぞれ30.7%、34.4%となっており、3割以上の世帯で支出額が減少している。反対に増加した世帯も1割以上ある。
 また、支出額と利用額の関係をみると、支出額、利用量とも変化なしの世帯が最も多く50.6%であった。支出額、利用量の一方が変化なしあるいは減少及びもう一方が減少している世帯が34.1%、逆に増加した世帯は13.8%であった。
 「電話全体」については、支出額、利用量とも約7割の世帯で増加しており、変化なしおよび減少した世帯が約3割であった。つまり、意識的か否かは別として約3割の世帯が各電話間で支出を調整している可能性がある。



図表12(N=498)


移動体通信の普及動向と通話支出

 そこで「普通の電話」の支出額の変化にかかわらず、「電話全体」の支出額が増加した世帯に注目して、増加した支出をどのような項目から捻出しているのか、言い換えれば他の通信料金以外の支出及び貯蓄に影響が出ているかについての2つの質問に回答してもらった。
 まず、携帯電話・PHSを使用することによって、日常生活の中で他の出費を減らしているかという質問に対しては、「あまり意識していない」がもっとも多く41.1%、次いで「少し意識している」が30.1%であった。意識していない世帯が約6割で、これは移動体通信の急速な料金の低下も寄与しているものと考えられる(図表13)。
 次に他の通信料金以外の支出及び貯蓄に影響が出ているかについて強い順に3つ回答してもらった結果が図表14である。なお、1番目から3番目までの各比率は1番目を回答した世帯数を分母として算出した。
【1番目の理由】
 「全体的に減らしているので特にどの項目とはいえない」と回答した世帯が最も多く20.1%、次いで「衣類・装飾品」15.9%であった。また「毎月の預金」14.1%、「収入(所得)の増加分」12.0%となっており、4世帯のうち1世帯が他の支出を変化させないようにしている。そして「携帯電話、PHS以外の通信費」つまり、通信費全体の中で調整している世帯も1割を超えている。
【2番目の理由】
 「レジャー費」が最も多く14.7%、次いで「衣類・装飾品」10.5%、「交際費」10.2%となっている。
【3番目の理由】
 ここでも「レジャー費」が最も多く12.9%、次いで「交際費」12.6%、「全体的に減らしているので特にどの項目とはいえない」10.8%となっている。
 全体をとおして、全体的に減らしている世帯が多く、「レジャー費」、「衣類・装飾品」は1番目から3番目をとおして高い項目であった。



図表13 各世帯の移動体通信費に対しての意識(N=475)



図表14 各世帯の各支出への影響(N=448)


移動体通信の普及動向と通話支出

4.3 料金水準
 各世帯に電話料金の水準を現在(97’11時点)を100として加入電話、携帯電話、PHSの基本料金及び通話料金についてそれぞれ回答してもらった。

加入電話(N=906)
 基本料金については90〜100と回答した世帯が最も多く36.5%の世帯が現在の水準に満足している。続いて70〜80が16.1%、40〜50が15.0%となっており、平均は83であった。
 通話料金については、80〜90と回答した世帯が最も多く25.5%、次いで90〜100が22.7%、80〜90が18.3%となっており、平均は79であった。

携帯電話(N=915)
 基本料金、通話料金とも40〜50と回答した世帯が圧倒的に多くそれぞれ40.6%、56.2%とここ数年携帯電話の料金は急速に下がってきているものの加入者は依然高い水準であると感じている。特に通話料に対してであるが、40以下の割合も12.7%にのぼり約7割の世帯で現在の半分以下の水準を希望している。平均すると、基本料金が63、通話料金が58となっている。
PHS(N=734)
 基本料金については、90〜100と回答した世帯が最も多く27.7%であるが、40〜50の世帯も23.8%と加入電話、携帯電話と比較して現在の水準に満足している世帯と高いと感じている世帯とに大きく分かれているのが特徴である。また通話料金は40〜50と回答した世帯が最も多く35.3%、次いで80〜90が14.9%、90〜100が13.1%となっている。基本料金と通話料金を比較すると携帯電話同様全体的に通話料金を高いと感じている世帯が多い。なお、平均は基本料金が76、通話料金が67となっている。



図表15 各世帯が理想とする移動電話の料金水準


移動体通信の普及動向と通話支出

5.まとめ
 郵政研究所で実施した「電話サービスに関するアンケート」のデータを用いて、関東地方における移動体通信の世帯普及状況をみてきたが、この1年で携帯電話はさらに幅広い層に普及し、地域差もなくなってきている。それに対しページャーは、普及率を低下させ今後も同様の傾向が続くと思われる。PHSは今回の調査では普及率は伸びたものの年度途中から微減ではあるが減少に転じており、今後の動向が注目される。個人については、昨年の調査に引き続き20代男女が現在の普及の牽引車であるが、他の年齢層の普及率の伸びも目立った。特に高校生、大学生の普及率の伸びが急速であったことが分かった。全体的にみるとまだ属性別で傾向に違いがあるもののその差は縮小している。
 最後に、本稿は移動体通信の現況を把握するためにアンケートの調査結果を報告するのみであったが、今後ますます一般化していくであろう移動体通信の詳細な分析をこのようなアンケートデータを蓄積し、またトラヒックデータなどの集計データを活用し行われていくことを期待したい。


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  細分化・分極化・多様化の傾向を示す視聴者行動