郵政研究所月報
1997.12
消費者金融会社の好業績とその背景
第二経営経済研究部研究員 石橋 尚平
〔消費者金融会社の好業績と利鞘構造〕
消費者金融会社(以下、「専業者」)の業績は依然好調である。大手5社(武富士、アコム、プロミス、アイフル、レイク)の平成9年度の決算でも、表(1)のように好調ぶりを示す数字が並んでいる。大手5社の合算値では、直近3年間でいずれも2桁の増収増益となっている。増収のみならず、大幅な増益基調が続いているという点で、不況下における当業界の好調ぶりが際立つ。
消費者金融会社の高収益性は、グラフ(1)、(2)が示すような、当業界が享受している高い利ざや構造によるものである。営業収益に占める営業利益の比率は大手5社平均で30%台となっている。超低金利下において消費者金融会社の大手が資金調達能力を高めたことで、平均調達金利は順調に低下する一方、平均貸出金利は依然高止まっているため、大手5社の平均利鞘は20%を超えている。費用面に大きな変動がない限り、融資残高の伸びによる営業収益の増加により、利益も拡大するようになっているのである。営業費用も、人件費や広告宣伝費などを中心に二桁の伸びを示しているものの、金融費用の低下によって、収益で十分に吸収できる範囲に収まっている。
表(1) 消費者金融大手5社全体の直近財務・損益数値一覧
単位:百万円
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6/3(5/11)
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7/3
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8/3
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9/3
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直近増減 |
営業収益
営業貸付金利息 |
721,007
671,650 |
803,844
753,975 |
+11.5%
+12.3% |
913,142
867,340 |
+13.6%
+15.0% |
1,022,842
975,153 |
+12.0%
+12.4% |
+109,700
+107,813 |
営業費用
金融費用
(平均調達金利)
その他の営業費用
うち広告宣伝費
うち人件費
貸倒償却額 |
527,772
176,465
5.7%
344,091
39,976
91,841
63,639 |
562,292
180,069
5.4%
376,189
43,544
101,759
59,903 |
+6.5%
+2.0%
+9.3%
+8.9%
+10.8%
▲5.9% |
605,885
147,091
4.1%
455,322
50,725
113,122
73,380 |
+7.8%
▲18.3%
+21.0%
+16.5%
+11.2%
+22.5% |
655,757
144,244
3.7%
507,035
56,207
123,464
86,197 |
+8.2%
▲1.9%
+11.4%
+10.8%
+9.1%
+17.5% |
+49,872
▲2,847
▲0.4%
+51,713
+5,482
+10,342
+12,817 |
営業利益 |
193,232 |
241,552 |
+25.0% |
307,255 |
+27.2% |
367,083 |
+19.5% |
+59,828 |
経常利益 |
169,260 |
221,656 |
+31.0% |
308,120 |
+39.0% |
359,235 |
+16.6% |
+51,115 |
当期利益 |
72,450 |
103,550 |
+42.9% |
125,130 |
+20.8% |
155,518 |
+24,3% |
+30,388 |
総資産 |
3,923,464 |
4,276,858 |
+3.7% |
4,789,376 |
+12.0% |
5,261,467 |
+9.9% |
+472,091 |
営業貸付金残高 |
2,600,577 |
2,942,369 |
+5.7% |
3,404,495 |
+15.7% |
3,923,192 |
+15.2% |
+518,697 |
有利子負債 |
3,211,692 |
3,409,814 |
+2.2% |
3,760,338 |
+10.3% |
4,004,075 |
+6.5% |
+243,737 |
損益の数値は対前年同期比、資産・負債残高は対前期比の伸び率・増減額
武富士の平成5年度決算は11月〆
各社決算短信より |
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