季刊 個人金融 2018年秋号
発行年月 2018年11月
特集 高等教育の費用負担
日本では家計における教育費の負担が高く少子化の原因の一つにあげられています。
OECDが2018年9月に公表した「Education at a Glance2018」によると、2015年のOECD加盟国においてGDPのうち小学校から大学までの教育機関に対する公的支出の割合を見ると日本は2.9%で比較可能な34ヶ国中最下位となっています。
こうした中、注目されているのが、2017年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」や2018年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」の「人づくり革命」において出された「高等教育の無償化」です。
高等教育の無償化は、2020年4月にスタートする予定で制度設計が進められており、文部科学省の「高等教育段階における負担軽減方策に関する専門家会議」が2018年6月に報告書を取り纏めています。
本号では、教育費の公的支出に対する意識、教育の経済効果、奨学金などの高等教育に対する経済的支援策の現状と課題などについて分析・考察しました。
目次
特集
公教育費政策の現状と課題―歴史的経緯と日本人の意識に着目して 大阪大学大学院 人間科学研究科 教授 中澤 渉 |
貧困と高等教育―生活保護世帯の大学進学に関する諸問題― 名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 准教授 桜井 啓太 |
大学教育の効用~平均と分散:低偏差値ランク私立大学に着目して~ 東北大学大学院 教育学研究科 准教授 島 一則 |
奨学金受給が年収に与える影響 明海大学 経済学部 講師 萩原 里紗 |
高等教育の無償化政策、その限界と課題は何か 法政大学 経済学部 教授 小黒 一正 |
給付型奨学金制度の創設とその意義 千葉大学 国際教養学部 准教授 白川 優治 |
アメリカにおける大学生への経済的支援の構造 広島大学 教育本部 准教授 吉田 香奈 |
調査・研究
ユーロ圏家計金融消費調査にみる不均一性と資産格差 城西国際大学 経営情報学部 教授 大西(神余)崇子 |
わが国消費者の金融リテラシーと金融機関店舗 青森公立大学 経営経済学部 准教授 國方 明 |
地域金融と競争政策 成城大学 名誉教授 村本 孜 |
諸外国のリテール金融
諸外国のリテール金融における最近のトピックス(その1)
一般財団法人ゆうちょ財団 貯蓄経済研究部 総括研究員 兼部長代理 山本 一吉
ニュース解説
改正相続法等の概要
一般財団法人ゆうちょ財団 貯蓄経済研究部長 織田 善則
書評
山田 篤裕、駒村 康平、四方 理人、田中 聡一郎、丸山 桂 著
「最低生活保障の実証分析 ―生活保護制度の課題と将来構想」
学習院大学 経済学部 教授 鈴木 亘
広井 良典 著「持続可能な医療 ―超高齢化時代の科学・公共性・死生観」
一橋大学大学院 社会学研究科 教授 白瀬 由美香
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