季刊 個人金融 2022年夏号
発行年月 2022年8月
特集
DXによるリテール金融の変化
我が国の金融DXについては、利用者の目線から「安く、早く、便利」にサービスを変えていこうとする動きとして、フィンテックと呼ばれるデジタル技術を活用した商品・サービスの提供などが定着しつつある他、デジタルチャネルへの取引の集約やBaas(Banking as a service)など金融ビジネスモデルの変革といった領域にまで及ぶ事例がみられます。
スマートフォンに代表される高度なデジタルツールが普及し、e コマース等デジタルサービスの利用のための生活インフラとして定着したことを背景に、デジタルツールを使ったリテール決済、ネットバンキングなどが、急速に対面・現金取引に置き換わりつつあり、コロナ禍も相俟って既存金融機関の店舗網再編が本格化して、リアル店舗の意義も再考を迫られています。
他方、リテール金融市場への巨大プラットフォーマーなど他業種からの参入、金融ビジネスモデルの変化によって、これまでの金融業に対して行われてきた規制や制度も見直していく必要があります。
更に、ビットコインに代表される「暗号資産(仮想通貨)」が世界的に普及していますが、価格の変動を抑制し決済機能を持たせようとするステーブルコイン、他にもデジタル人民元など中央銀行による発行の動きもあり、混沌とした状況となっています。
今号では、DXで変貌するリテール金融について、国内のみならず海外の動向も見ながら、今後の展望について分析・考察しました。
目次
特集
リテール金融DX戦略成功の条件 成蹊大学経済学部教授 永野 護 |
個人をサポートするFintech 一般社団法人Fintech協会 代表理事会長 |
金融DXの伸展と金融機関リアル店舗の役割 江戸川大学社会学部教授 杉山 敏啓 |
リテール向けキャッシュレス決済における不正利用の現状と課題 成城大学経済学部教授 中田 真佐男 |
中国におけるフィンテックの発展と規制の動向 明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科教授 王 京穂 |
デジタル社会と決済システム -利用者から見た民間マネーと中銀マネーの共生- 明治大学政治経済学部教授 小早川 周司 |
フィンテック決済インフラが担う今後のリテール決済の課題と将来像 帝京大学経済学部教授 |
クリプトカレンシーが経済・社会へ与える影響 国立情報学研究所情報社会相関研究系准教授 岡田 仁志 |
調査・研究
コロナ禍における特例貸付制度を利用する自営業者の実態 明治学院大学社会学部准教授 仲 修平 |
預かり資産業務を振り返って 開志専門職大学事業創造学部講師 松澤 孝紀 |
ニュース解説
「ESG 評価・データ提供機関に係る行動規範(案)」
一般財団法人ゆうちょ財団 貯蓄経済研究部長 鈴木 雅一
書評
翁 邦雄 著『人の心に働きかける経済政策』 慶應義塾大学経済学部教授 白塚 重典 |
坂井 修一 著『サイバー社会の「悪」を考える -現代社会の罠とセキュリティ』 東京大学生産技術研究所教授 松浦 幹太 |
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