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金融・経済コラム

郵政の失われた10年

日本郵政グループの2012年度決算は、傘下の日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命も含めた連結決算で5,627億円の当期純利益となり、前期比938億円増の民営化後最高益となった。これは、経常収益が前期比8,122億円減という厳しい経営環境の中、日本郵便は郵便物数減による収益減を上回る前期比701億円の営業費用減、ゆうちょ銀行は民営化後削減してきた経費をこの年度も前期比630億円減といった費用削減を達成したことが大きく寄与したもので、傘下の子会社三社とも当期純利益を対前期比で200-400億円台の増と大きく伸ばした。

経営環境の厳しさは変わっていないものの、

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日本郵便の総取扱物数は対前期比0.1%減とほぼ横ばいとなり、郵便物数もここ数年3%台の減少が1.3%減と、大幅に減少幅が縮小した
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ゆうちょ銀行の貯金残高は、減少に歯止めをかけた前期に引き続き増加し、176兆円台に戻した
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かんぽ生命の保有契約件数は前期比223万件減の3,681万件となり減少傾向に歯止めはかかっていないものの、新契約件数は前期比8.5万件増の221万件と、民営化後毎年度着実に増加


と明るい材料も増えてきている。

この経営成績を他の民間企業と比較すると、当期純利益ベースでは、トヨタ自動車の9,622億円、三菱東京UFJフィナンシャルグループの8,526億円、三井住友フィナンシャルグループの7,941億円に続く規模で、みずほフィナンシャルグルーブやNTTと肩を並べる額である。また、利益剰余金ベースでみると、日本郵政グループは2.5兆円で、トップのトヨタ自動車の12.7兆円には遠く及ばないものの、三井住友フィナンシャルグループ2.8兆円に肩を並べる規模であり、前期からの伸び率は31.6%でトップである。

日本郵政グループは、2003年に国営事業から公社化され、2007年には民営・分割化された。この間の経営陣の交代と経営方針の変更、事業の仕組みから業務実態に至る激変は、社員の負担増よる疲弊を招き、事業意欲を減退させる結果となった。手続きの煩雑化とサービス低下は顧客離れを招聘し、システム構築の遅れと度重なるトラブルはこれに拍車をかけた。営業成績の低迷は必然だろう。さらに、経営形態の度重なる変更に伴う制服、ロゴ、看板、式紙などの作り直し等関係経費も膨大に掛かったはずだ。

2012年度決算は経営の上昇傾向を明示した。確かに2014年3月末見込みは当期純利益の大幅減益を見込んでいるが、今こそ「郵政の失われた十年」を取り戻すべく、政治の頸木から解き放され、がん保険におけるアフラックとの提携強化など新サービス展開を手掛かりに営業に反転攻勢をかけ、早期の上場に向けて右肩上がりの成長シナリオを描くべき時である。経営陣が一新された2013年度は正に勝負の年ではないだろうか。


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