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「第17回 ゆうちょ資産研セミナー」

 2018年の世界金融政策に多大な影響を与える日銀人事は、黒田総裁が続投、副総裁として日銀理事から雨宮正佳氏と早稲田大学から若田部昌澄教授の就任となりました。新体制となった日銀の金融政策に注目が集まります。今回のゆうちょ資産研セミナーは、2012年から2017年まで5年間日銀審議委員を務められ、日銀の政策立案に携わってこられた木内登英氏をお迎えし、「日銀の出口戦略と金融市場」と題し、講演をいただきました。

開催日時 : 平成30年8月7日(火) 午後3:30〜5:00
開催場所 : ホテルメルパルク東京  「ZUIUN」 
        〒105-8582 東京都港区芝公園 2-5-20 


内  容
講演者 講演テーマ
NRI野村総合研究所
エグゼクティブ・エコノミスト

木内 登英
日本銀行の出口戦略と金融市場

講演要旨

日本銀行は2012年の異次元緩和の際、「安定的に物価上昇率(CPI)が2%を超えるまでは金融緩和を続ける」とし、2%の物価安定目標を絶対として金融緩和に取り組んできた。異次元緩和を始めた当初こそ円安・株価上昇が顕著となり、一時的に物価上昇率2%を超えるときもあった。しかし、その後は、円高基調が続き、株価も高止まりというものの一段の上昇とはいかなかった。木内氏は、この2%の物価安定目標は妥当ではなく、達成も困難であるとし、この目標達成への過度なこだわりが、金融政策の正常化(金利をゆっくりと上昇させる過程に入ること)を遅らせ、国債市場に大きな歪み(10年債利回りまでもマイナスにしたことで、取引量が大幅に減少したこと)を生じさせている。日本銀行が限界まで国債買い入れを続ければ、流動性の過度の低下から国債市場は混乱し、世界的な金融市場の大幅な調整の引き金を引いてしまう可能性もあると述べた。

また、木内氏は、国債買い入れ増加ペースの縮小(ステルス・テーパリング(日銀が特に発表をせず、国債買い入れを減らすこと))という形で、「事実上の正常化」は既に進んでいる。さらに、国債買い入れの持続性と金融機関の収益改善(日銀がマイナス金利を実施した結果、金融機関の収益は著しく悪化した)を意図して、長期金利目標の短期化などイールドカーブ(横軸に残存期間、縦軸に利回りを記すカーブ)を修正する「事実上の正常化」の追加措置が、今後は期待される。その際にはイールドカーブのスティープ化と円高進行が予想されるとも述べた。

さらに、長短金利引き上げ、ETF(主にTOPIX(日本の株式市場全体を表す指標)のインデックスファンド)買い入れ減額など、「本格的な正常化」には、2%の物価目標を中長期の目標にするなどの柔軟化が必要である。それは経済、金融情勢とともに政治情勢に左右されよう。さすれば、「本格的な正常化」の実施は2020年ごろにずれ込むであろうと述べた。

最後に、現在の世界経済の悪化は、日本銀行の正常化策を後ずれさせる。その際、安易に追加緩和策をとるべきでなく、特に、政府からの国債買い入れ再拡大の要請は受け入れるべきではないと締めくくった。



開催模様

  
        会場の様子                    講演される木内エグゼクティブ・エコノミスト


  
  挨拶するゆうちょ財団朝日理事長   挨拶されるゆうちょ銀行田中副社長


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