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夫婦の雇用形態と経済厚生

 

大阪大学大学院 国際公共政策研究科 教授

小原 美紀

要旨



本稿では、日本における二人以上家計の経済厚生について、1995年〜2015年の統計を整理する。分析にあたり二つの点に注意する。第一に、家計を担う者の働き方別に経済厚生の差を確認する。とくに、日本の場合家計を担う者となることが多い既婚男性(夫)の働き方を、常用雇用、それ以外、自営業の3つに分けた分析を行う。第二に、所得だけでなく、消費や資産、貯蓄を含めて包括的に経済厚生を計測する。分析の結果、まず、夫が常勤以外の労働者である場合に、所得、消費、資産のいずれで見ても平均的な水準が低いことがわかる。しかしながら、つぎに、夫が常勤以外の労働者のグループ内では、経済厚生の格差も大きいことがわかる。加えて、このグループでは貯蓄行動にも大きな差がある。不安定雇用に就く者の経済厚生は平均的には低いが、そのような者の間には異質性も大きい。彼らに対して一律に行う所得補助政策は効果を持たない可能性がある。