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雇用形態と賃金格差、そして仕事の質

 

東京大学大学院 学際情報学府 博士課程

鈴木 恭子

要旨



本稿では、「雇用形態」「賃金」そして「仕事の質」という3つの要素の関係を整理する。その結果、現在の日本では「雇用形態」と「賃金」の結びつきが国際的にみても強い一方で、その「雇用形態」および「賃金」は、「仕事の質」との関連がほとんど問われていないことを指摘する。意外にも、労働市場における「賃金」分布の構造は「雇用形態」の区分と一致していないのだが、「雇用形態」は属性に応じて特定の人たちを不利な特徴をもつ賃金決定システムのセグセントに媒介する役割を果たすことでこの労働市場の潜在的な分断を支えている。こうしたなかで、こんにちの政策が志向するように企業単位で待遇の均等化を目指しても、これまでの構造を追認することに終始する可能性がある。透明性の高い公平なシステムの構築にむけて、労働市場全体で「仕事の質」と「賃金」の関連性を高めていくことが必要である。