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介護保険制度の変遷とその課題―高齢者介護保障政策の今後に向けて

 

大阪経済大学 経済学部 教授

森 詩恵

要旨



本稿は、介護保険制度の導入時からこれまでを振り返り、介護保険制度の抱えている主な課題の再整理を目的とする。主に、@サービス提供からみた介護保険制度の変容とその課題、A介護保険財政の増大とサービス利用、B介護者支援の課題、C市町村の役割の再確認、の4 つの項目から分析した。本稿の結論として、@介護保険制度は改正ごとにその根本的な部分を変容させているが、その背景には高齢者介護支援においては、ただ「介護」サービスを提供するだけではなく、利用者の生活全体を支援するという視点が重要であること、A介護保険制度を導入した現在も家族介護が多くの部分を担っているが、家族介護者に対する支援政策は整っておらず、現金給付やワークライフバランス政策の充実など、介護者支援が早急に必要であること、B介護保険制度の導入後、保険者である市町村の役割が変容することによって、介護に対する公的責任が縮小し、またその意識が希薄化しているため、利用者がどのような生活を送っているかを把握し、サービス利用における最終的な公的責任を担うことが市町村の重要な役割であることを再確認する必要があること、である。