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家計のポートフォリオ選択からみた貯蓄から投資への課題

 

一橋大学経済研究所 教授

祝迫 得夫

要旨



2000年代以降のミクロデータの分析によると、近年の我が国における少子高齢化の進展は、一般の印象やライフサイクル・モデルによる予測に相反して、現時点は貯蓄率の低下に歯止めをかけ、家計のリスク資産への投資を促しているように見受けられる。また、不動産価格の長期的な低下傾向は、既に住宅を保有している家計に関しては負の資産効果を通じてリスク資産(株式)の金融資産に占めるシェアにネガティブに働いている一方で、頭金や住宅ローン借入れの低下により、リスク資産のシェアの上昇につながっている可能性もある。家計の金融資産保有そのものは2000年代以降継続して増えており、またほとんどが住宅ローンだと考えられる負債の金融資産に対する比率は大きく減っている。ただし「持たざる高齢者」の金融行動についてはよく分かっておらず、また「持たざる高齢者」になることを避けるための投資教育や制度改革は今後の重要な政策課題である。