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米国証券営業における受託者責任議論の動向と我が国への示唆

 

明治大学 国際日本学部 特任准教授

沼田 優子

要旨



米国も1980年代頃まではわが国同様、預金主体の国であったが、現在は家計の4 割が投資信託を保有する投資大国となっている。「貯蓄から投資へ」を促した要因の一つとしては、多様な営業担当者と投資アドバイスの存在が考えられる。その営業担当者の行動規範として、近年、注目をあびているのが「受託者責任(フィデューシャリー・デューティー)」である。
受託者責任は、行動規範のミニマム・スタンダードを示してきたとされる「適合性原則」とは異なり、顧客の最善の利益(ベスト・イントレスト)の追求を目指す。米国の証券営業における受託者責任議論は20 年近い時を重ねても決着をみていないが、この間の紆余曲折が「投資アドバイスとは何か」の議論も生み、アドバイスが多様化した。結果、裾野の広い米国の個人投資家は、それぞれが身の丈にあったアドバイスを受けられるようになりつつある。
わが国でも「顧客本位の業務運営に関する原則」が発表され、最善の利益の追求へと舵が切られた。今後、証券業者や営業担当者の創意工夫によってアドバイスがさらに多様化すれば、資産形成層にとってもアドバイスがより一層身近になっていくかもしれない。