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家計の借入行動 ―行動経済学アプローチ

 

大阪大学 社会経済研究所 教授

池田 新介

要旨



本稿では、最近の行動経済学の研究成果に基づきながら、借入にかかわる選好を決定する行動経済学的要因をとりあげ、彼らの負債保有、とりわけ過剰債務という非合理的な行動のメカニズムとの関係を考察する。結果として、消費者の借入行動の違いは、(1)せっかちさ(時間割引率のレベル)の程度、(2)現在バイアス(または双曲割引)の有無、(3)自己の時間非整合性についての自覚・無自覚、(4)支払い・受取りに対する時間割引の非対称性の有無、および(5)セルフ・コントロール力の違い、と有意な相関をもつことが示される。消費者信用の市場機能を維持する一方で、限定合理性に起因した過剰債務を予防する政策立案には、さらに定量的な実証知見が必要である。