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住宅ローンの債務不履行と金融リテラシー:アメリカの状況と日本への示唆

 

日本福祉大学 経済学部 准教授
遠藤 秀紀

米国カリフォルニア州立大学サクラメント校 経営学部 教授
知念 賢一郎

要旨



本稿は、アメリカの金融リテラシーがどのような経路で住宅ローンの債務不履行に影響するか、検討する。金融リテラシーの低い住宅ローンの借手は、債務不履行が懸念される状況で感じる強いストレスから、大きな損失をいとわない意思決定(債務不履行の選択)を行うと考えられる。アメリカのデータにより検証した結果、学生時代に金融リテラシーの形成機会に恵まれなかった住宅ローンの借手に、債務不履行確率の上昇が確認された。さらに、債務不履行後に残債務を返済しきれない場合、貸手が未回収分を借手に請求できるような状況でも、金融リテラシーの低い借手は債務不履行を選択する傾向を示した。学生時代に形成された金融リテラシーは、将来、住宅ローンを保有した場合に、債務不履行などの状況の回避に役立つ可能性がある。まずは、学生時代に金融リテラシーを高めるような教育を受ける機会を整備することが必要だろう。