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貸金業制度2006年改正後の消費者ローンの課題と小口金融のあり方
〜銀行カードローンが包含する本質的問題〜

 

東京情報大学 総合情報学部 教授

堂下  浩

要旨



日本では貸金市場で発生した問題の解決策として出資法の上限金利引下げに代表される資金供給者への経済規制の強化策が一貫して取られてきた。半面、金銭カウンセリングや金銭教育を提供することで返済困難に陥った資金需要者に対する債務行動の救済策はあまり講じられてこなかった。日本で金銭カウンセリング機能が制度的に構築されない理由のひとつとして債務整理は非弁行為として弁護士と司法書士に独占されるという日本固有の制度が挙げられる。例えば金銭面の心理的ケアに長けたカウンセラーが債務整理を行うと非弁行為となってしまう。一方弁護士・司法書士はカウンセリングの専門家ではないため、債務者を継続的に援助する動機付けは起こり難い。このため貸金市場で発生した問題に対して業界を一方的に懲罰するという政治パフォーマンスは繰り広げられながらも、返済困難者を抜本的に救済する社会システムに関する議論はお座なりに済まされてきた。
特に2006年の法改正は感情論が先行する一方で、実証データに基づく科学的検証が封殺されるという、あまりにも拙速なものであった。一部の弁護士・司法書士グループが扇動する格好で、いわゆる「高金利」という論点にのみ着目して法改正作業は一種の社会運動として進められた。それ故に法改正の歪みは今日まで多大な影響を社会に及ぼしている。